腹式呼吸は歌のためのみならず、正しい発声において重要な基本の動作です。呼吸は歌のための第一の準備です。歌のための発声では、基本となる腹式呼吸をマスターした上で、それを様々なテンポや音程を表現するために、思うがままに応用するスキルが必要とされます。
また、呼吸の際には、腹部を中心として、それ以外にも実に多くの身体の部位が運動することで、正しい総合的な動作というものが行われることになります。別々の複数の部位が連動するのですから、それぞれの部分がセオリー通りに正しく動いていても、その上で、それら諸々の運動をまとめ上げる土台の部分、というものが必要となります。腹部の運動には、呼吸の要となる以外にも、こうした全体の連動性を統御しコントロールするという重要な役目があります。